廃校の利活用

 テレビで「学校に帰ろう」という番組がやっていた。一見すると、「学校に行こう」のイメージに引っ張られて、学生主体の番組なのかなとも思うのだが、とっくに卒業した「大人」の話であった。

 端的に言うと、廃校利活用の話である。廃校を地域活性の場として活用していこう、みんなで学校に集まろう(帰ろう)、というわけだ。制作は政府広報政府広報オンラインではそのまま番組を閲覧することもできる。

 学校の廃校・統廃合は人口減少により、どこでも起きている事象だ。かつては、維持費等を鑑み、解体されることも多かったが、近年では、多少古くなっていても、学校という特別な場所はリノベして別の形にして使えば、有効活用できるという見方が強い。

 教室という複数に分かれた部屋があり、体育館があり、プールがあり、グランドがあり、駐車場もある。学校には、無限の用途が考えられ、複合施設として、多くの組織により利用できるというところもメリットだ。

 番組内では、鳥取県八頭町の隼lab.が紹介されている。ここは多業種が交流するシェアオフィスや地域の食材を使用したカフェ、コミュニティスペースなどが設けられており、町民でも県外者でも、誰でも利用できるため、新たな賑わいを創出している。

 そして、隼lab.もそうなのだが、番組で紹介されていた成功事例に共通するものが、地域の組織によって、運営されていることだ。

 人口減少による廃校というマイナスな状況に危機感を抱いた地域の人たちは、「公けにだけ任せておれん」と立ち上がったわけだ。そして、公けも民間の感覚にかけて、協力する。金は出すが、口は出さないの度合いは各市町村により異なるだろうが、公けだけで運営することに限界があるのは、既存の公けの施設運営を見るに明らかであろう。

 人口減少が進む限り、廃校・統廃合は今後も起き続ける。少なくとも、廃校する学校の児童・生徒をどうするのかはしっかり考えられ、進められるのだろうが、廃校となる学校の利活用というのは後回しになりがちである。解体するのか、活用するのか、活用するなら、どう活用するのか、そして、誰がするのか。そういった運営組織が地域にないかもしれない。だが、廃校をきっかけに住民の意識が一つになり、組織が立ち上がることもある。廃校はマイナスな状況ではあるが、チャンスでもあるのだ。